25歳で独立し、スタッフの大量離職、倒産の危機、自身の迷いなどを超えて今、経営者としてもデザイナーとしても、これから本当のクリエイティブが始まると断言するSAYURIさん。
現在、スタッフは52名、子どもは2人。
紆余曲折、波乱万丈なその美容人生を伺いました。
「最近やっと経営の仕方がわかって、楽しくなってきた。これから私、もっとクリエイターになりますよ。技術者としても経営者としても」
25歳からサロンを経営し、シングルマザーとして2人のお子さんを育ててきたSAYURIさん。
今やっと、自分の進むべき道が明確になったと言います。
これまで一番苦労したのは、スタッフの離職。
人間関係の難しさに疲れ果てたSAYURIさんは、いっとき、面貸しシステムを導入したことがありました。
「それはすごく楽だったんです。私、ただの大家さんですから。順調に利益も出ていましたし」
人を育てないサロン、そのサロンで働くアシスタントに申し訳ないという気持ちから、一念発起。
50歳、60歳になっても雇い続けることができるサロン作りを目指すことに決めました。
専門外だったエステに手を出し、大赤字を出したこともキッカケになりました。
そのことでかえって、信頼できる仲間を見つけることができ、一からスタートを切る覚悟ができたそうです。
レッスンは動画を使用して、とことん合理化。
週休2日制を実施する一方で、右腕の副社長を中心にスタッフ同士のつながりも密にしてきました。
今では離職率は激減しています。
SAYURIさんにとって、大きな転機になったのは、世界を旅し、各地で織影した写真を元に作った書籍『日本の美容師たちへ』の上梓。
その本の帯には「日本の美容師たちへ。自信を持ちなさい。日本の美容技術は、世界最高だと自負しなさい」と書かれています。
「世界を旅して日本の美容師の技術は、本当に素晴らしいと改めて気づきました。だから、もっと日本の美容師の地位を上げていきたい。
地位をあげるとは何かというと、リスペクトされること、生産性をあげて稼ぐこと。今、その改革にチャレンジ しています」
特許を取得したカット技術“ステップボーンカット”を武器に現在、カット時間の短縮と料金のアップ、店販との連動をすすめているSAYURIさん。
「美容師はもっとアーティストであるべき。彼らがお金の心配をせずに、もっと自由奔放に美しいデザイン作りだけに没頭できるような環境を提示していくことが、経営者の仕事。その仕組みを作ることが、これからの私の使命です」
これから彼女が切り拓いていく道は、デザイナーとしても、経営者としても前例のない道。
そのことをSAYURIさんは冒頭「これから本当の意味でのクリエイターになる」と語ってくれました。
道無き道への挑戦は、まだまだ続きます。
25歳で美容師を辞めるなんて、よしたほうがいい。考えてもみて。
美容学校にお金をかけ、5年修行して、また一から別の仕事を学ぶの?
専業主婦になるとしても、ファッションも贅沢も仕事の面白さも知っている美容師の世界にいた女性は、相手の年収が1000万円以上ないと、将来貧しい気持ちになるのは目に見えています。
それより自由でクリエイティブな可能性のある美容師に賭けてみたら。
女性美容師として生きていく。Vol. 2
2014年